インプラントは医療費控除の対象になる?申請方法や年収別シミュレーション - あんしんインプラント

インプラントは
医療費控除の対象になる?
申請方法や
年収別シミュレーション

登録日:2025年 

インプラント治療は、基本的に保険が適用されない自由診療であり、高額療養費制度も対象外となるため、治療費は全額自己負担です。

ですが、一定の条件を満たせば「医療費控除」が受けられます。

医療費控除制度を利用すれば、支払った治療費の一部が還付され、所得税・住民税の負担が軽くなる可能性があります。

制度の仕組みや申請方法のほか、申告でどのくらい戻ってくるのか年収別にシミュレーションしました。

治療費が高額になりがちなことから、インプラント治療をためらっている方は、ぜひ参考にしてください。

インプラントは医療費控除が適用される

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インプラント治療で高額な医療費を支払った場合、一部のケースを除き「医療費控除」が受けられる可能性があります。 まず、医療費控除の仕組みと、制度の対象外となるケースを確認していきましょう。

そもそも医療費控除とは?

「医療費控除」とは、1年間に支払った医療費が一定額を超える場合、その額を基に計算した最高200万円までの所得控除が受けられる制度です。

所得は所得税と住民税の算定の基礎となるため、次年度の納付額が軽減する可能性もあります。

インプラント治療が医療費控除の対象外となるケース

通常、インプラントを含む歯科の治療費は、医療費控除の対象です。

しかし、医療費控除には一定の適用条件が定められており、それに該当しない場合は適用の対象外となります。

なお、医療費控除の対象外となる具体例は、以下のとおりです。

 

  • その年に実際に支払っていない医療費
  • 生計を一にしていない人物の医療費
  • 10万円未満(その年の総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%に満たない) の医療費
  • 200万円を超えた分の医療費
  • マイカーによる通院費
  • 治療目的ではないと見なされる交通費や宿泊費
  • 症状ごとの一般的な治療の水準を超えると見なされる治療費
  • デンタルローンの金利

 

医療費控除が受けられるのは、本人もしくは生計を一つにする家族が支払った医療費のみです。

未払いの医療費は、実際の支払日が含まれる年が申告の対象となります。

ただし、インプラントの治療費をクレジットカードで支払ったときは、引落日ではなく、決済日が支払日と見なされます。

インプラントの治療費をデンタルローンで分割払いしている場合は、その年の間に信販会社が立て替えた総額を申告可能です。

 

医療費控除では、実際に支払った医療費から、公的・民間の保険金と、10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)を差し引いた額のうち、最高200万円が控除されます。

したがって、限度額を超えた金額や、10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)に満たない医療費は控除されません。

通院にかかった交通費も医療費控除の対象となりますが、公共交通機関を利用した場合に限ります。

また、医療費控除の対象となるのは、あくまでも治療に必要な費用です。

必要以上に高額・長期の治療費や、ローンの金利などは治療目的ではないと見なされ、控除されない可能性があります。

医療費控除の申請方法

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医療費控除を受けるには、確定申告をしなければなりません。 ここでは、確定申告の手続きの流れや必要書類、申告期間を押さえておきましょう。

確定申告で医療費控除を受けるには

医療費控除は、確定申告書の所定の欄に計算した金額を記載し、お住まいの地域を管轄する税務署へ提出することで適用されます。

確定申告書は、税務署に足を運ぶほか、郵送やインターネット(e-Tax)、税理士への代行依頼でも提出可能です。

医療費控除の確定申告に必要なもの

確定申告で医療費控除を受けるために必要な書類は、以下のとおりです。

  • 確定申告書
  • 医療費控除の明細書
  • 医療費の領収書
  • 医療費のお知らせ(医療費通知)
  • 交通費のメモ書き
  • 源泉徴収票
  • マイナンバーカードまたは本人確認書類(e-Taxで申告する場合は不要)
  • 保険等で補填された金額を確認できる書類
  • 還付金の振込口座番号がわかるもの

なお確定申告書や医療費控除の明細書は、税務署に取りに行くか、国税庁のWebサイトからもダウンロードできます。

オンライン申請の場合は、所定の欄に金額を入力すると自動で作成されるため、準備する必要はありません。

医療費控除の確定申告の期間

一般的な確定申告の期間は、翌年2月16日~3月15日頃です。

ただし、年によって日程が異なる場合があるので、必ず事前に確認してください。

とはいえ、医療費控除は、確定申告のうち納め過ぎた税金が還付される「還付申告」にあたります。

そのため、猶予期間である5年以内であれば、いつでも申告可能です。

たとえば、2025年分であれば、2026年1月1日~2030年12月31日までが申告期間となります。

なお、申告できる金額は5年間の通算ではなく、あくまでも1年間にかかった費用のみ です。

医療費控除額の計算方法

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続いて、医療費控除額の計算方法を「所得からの控除額」「還付される所得税額」「軽減される住民税額」の3つに分けて解説します。

課税所得から控除される医療費の額

まず、次の計算式で、課税所得から控除される金額を算出します。

 

医療費控除額(※1)=1年間に支払った医療費の総額-保険金などで補填される金額-10万円(※2)

 

※1:医療費控除額の上限は200万円
※2:年収200万円未満の場合は総所得金額の5%

還付される所得税の額

次に、医療費控除を受けることで還付される所得税を計算します。所得税の還付金を求める計算式は、以下のとおりです。

 

所得税の還付金=医療費控除額×所得税率

 

なお、所得税率は、以下のように決められています。

日本では所得税に累進課税制度が採用されているため、収入が多い人ほど税率が高くなり、還付金も多くなります。

課税所得金額 所得税率
1,000円 から 1,949,000円まで 5%
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10%
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20%
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23%
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33%
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40%
40,000,000円 以上 45%

 

※参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

 

軽減される住民税の額

医療費控除を受けた分、課税対象となる所得が減ります。

それが翌年の住民税の計算に反映され、住民税の負担が軽減される仕組みです。

減額される住民税の額は、以下の計算式で求められます。

 

減額される住民税=医療費控除額×10%

【年収別】インプラントの治療費が医療費控除でどれくらい戻ってくるかシミュレーションしてみよう

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医療費控除では、支払った医療費の総額や、個々の年収によって、還付・軽減される税額が変わります。 以下では、年収400万円・600万〜800万円・200万円以下の3つのケースに分けて、どのくらい戻ってくるのかシミュレーションしてみましょう。

年収400万円の場合

年収400万円で、インプラント治療費を含む1年間の医療費が40万円だった場合、医療費控除で所得税がどれくらい還付されるのか計算します。

ここでは仮に、課税所得金額を320万円、保険金などで補てんされる金額を10万円としました。

 

まず、医療費控除額を算出します。

医療費控除額=1年間に支払った医療費の総額-保険金などで補填される金額-10万円

20万円=40万円-10万円-10万円

 

課税所得金額が320万円の場合の所得税率は10%なので、所得税の還付金は以下のとおりです。

所得税の還付金=医療費控除額×所得税率

2万円=20万円×10%

 

したがって、この場合に還付される所得税額は2万円です。

なお住民税は、医療費控除額×10%(20万円×10%)なので、同じく2万円が減額されます。

年収600万〜800万円の場合

次に、年収600〜800万円で、インプラント治療費を含む1年間の医療費が50万円だった場合、医療費控除で所得税がどのくらい戻ってくるのか計算してみましょう。

年収600万〜800万円の場合の平均的な課税所得金額は460万〜590万円程度なので、ここでは550万円とし、そのうち保険金などで補てんされる金額を10万円と仮定します。

 

まず、医療費控除額を算出します。

医療費控除額=1年間に支払った医療費の総額-保険金などで補填される金額-10万円

30万円=50万円-10万円-10万円

 

課税所得金額が550万円の場合の所得税率は20%なので、所得税の還付金は以下のとおりです。

所得税の還付金=医療費控除額×所得税率

6万円=30万円×20%

 

この場合、所得税が6万円還付されるという計算になります。

なお、減額される住民税は、医療費控除額×10%(30万円×10%)なので、3万円です。

年収200万円以下の場合

年収200万円以下の場合は、医療費控除額から差し引かれる金額が変わります。

ここでは、総所得132万円、インプラント治療費を含む1年間の医療費が35万円、そのうち保険金などで補填される金額が10万円だった場合、医療費控除で所得税がどれくらい還付されるのか計算してみましょう。

 

まず、医療費控除額を算出します。

医療費控除額=1年間に支払った医療費の総額-保険金などで補填される金額-総所得金額の5%

18.4万円=35万円-10万円-(132万円×5%)

 

課税所得金額が1,949,000円までの場合、所得税率は5%のため、所得税の還付金は以下のとおりです。

所得税の還付金=医療費控除額×所得税率

9,200円=18.4万円×5%

 

減額される住民税は、医療費控除額×10%(18.4万円×10%)なので、1万8,400円です。

 

※参考:手順3 所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算する|国税庁

インプラントの医療費控除に関する注意点

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インプラントの治療費で医療費控除を受けようとする際には、次の4点に注意してください。

● 1年間にかかった医療費の合計額を申告する
● 確定申告に関する書類は5年間保管する
● 年末調整では医療費控除が受けられない
● セルフメディケーション税制との併用はできない

1年間にかかった医療費の合計額を申告する

インプラントの費用相場は35万〜55万円であり、多くの場合、単独で医療費控除の対象です。

所定の金額に満たない場合でも、年間の医療費の合算額が申告できるため、ほかの医療費と合わせて10万円以上なら控除が受けられます。

 

医療費控除では、自身にかかった分以外に、生計を一にする家族・親族などが支払った医療費も合算して構いません。

医療費を支払った本人のほか、家族・親族などが確定申告する際にも控除が受けられます。

同じ医療費でも、所得額の高い方のほうが還付される金額が多くなりますので、うまく調整することで大きな節税効果が得られるでしょう。

確定申告に関する書類は5年間保管する

申告書や医療費控除明細書、医療費の領収書などの確定申告関連の書類は、申告後5年間保管しなければなりません。

治療費をクレジットカードやデンタルローンで支払っている場合は、その信販会社が発行する領収書の保管が必要です。

通常、領収書がない場合、健康保険の医療保険者が発行する医療費通知で代用できますが、自由診療のインプラントの治療費は記載されないので注意してください。

 

なお領収書は、確定申告の際に添付する必要はありません。

しかし、税務署から提出・提示を求められたときに応じられないと、控除が受けられないばかりか、各種加算税や延滞税が課される可能性があります。

年末調整では医療費控除が受けられない

基本的に、勤務先などで行われる年末調整では、医療費控除は受けられません。

年末調整とは、給与・賞与から差し引かれた源泉徴収税額と、本来収めるべき年税額を一致させるための精算手続きです。

一方、医療費控除は原則として個人の申告に基づくものなので、年末調整の対象外となります。

 

給与所得者に該当する方は必ずしも確定申告を要しませんが、医療費控除を受けようとするときは忘れずに申請手続きを行いましょう。

セルフメディケーション税制との併用はできない

医療費に関する制度には、医療費控除のほか「セルフメディケーション税制」が存在しますが、1回の確定申告で2種類の併用はできません。

 

セルフメディケーション税制とは、健康増進や 疾病予防のために検診の受診や予防接種など一定の取り組みを行っている方が、年間1万2,000円以上の対象医薬品を購入した場合に受けられる医療費控除の特例です。

確定申告の際には、医療費控除もしくはセルフメディケーション税制のいずれか一方を選択することとなり、申告後の更生・修正はできません。

まとめ

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インプラント治療は保険適用外であり、高額療養費制度も適用されませんが、医療費控除の対象となります。

高額な費用がネックになってインプラント治療をためらっている方は、一度、還付金のシミュレーションをしてみてはいかがでしょうか。

医療費控除を活用するのはもちろんですが、一度に全額の治療費を支払うのが難しい場合は「デンタルローン」を活用するのもおすすめです。

 

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デンタルローンに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

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