インプラントとオールオン4
特徴・違いや費用を踏まえた
最適な治療法の選び方
オールオン4は、インプラント治療の一種です。
両者の違いを、インプラントを埋め込む数や費用といった7つのポイントで比較しました。
症例ごとにどちらを選ぶべきかを提案しているので、インプラント治療を検討中の方はぜひ参考にしてください。
最近、失った歯の治療法として、天然歯に近い感覚が取り戻せる「インプラント」を選択する方が増えてきています。 しかし、治療にかかる費用や身体的な負担、期間などの理由から、諦めざるを得ないという方もいるでしょう。 そこで革新的な選択肢となるのが「オールオン4」です。 今回は、通常のインプラントとオールオン4の2つの治療法の違いを踏まえ、どちらを選ぶべきかを比較しました。
インプラントとは?

そもそも「インプラント」とは、顎の骨にフィクスチャーという人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を被せる治療法です。
フィクスチャーと人工歯はアバットメントという器具で連結させて固定するため、いったん埋め込んだら自由に取り外せない分、しっかりと固定できます。
インプラントは、歯の土台となる根っこ部分があるため、安定感があり、噛む力も伝わりやすいのが特徴です。
天然歯に近い感覚が取り戻せる、画期的な補綴(ほてつ)治療だといわれています。
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インプラント治療とは?
オールオン4とは?

「オールオン4」とは、インプラントの術法の一種です。
簡単にいうと、インプラントで固定するブリッジのような補綴装置を指します。
顎の骨に埋め込んだ最小4本のインプラントを支柱に、連結した義歯を固定する構造です。
オールオン4は、通常の取り外し式の入れ歯と比べ安定感に優れます。
脱落の心配や使用中のズレやグラつきがほとんどなく、噛む力も伝わりやすいです。
また、歯茎を覆うパーツが最小限なので、発音・発声を妨げず、味もしっかり感じられます。
なお、オールオン4は、 着脱しない固定式です。
基本的なお手入れは天然歯と同じく毎日のブラッシングでよく、手間がかかりません。
連続する複数の歯を失い、費用を抑えて治療を受けたい方にとって、革新的な治療の選択肢として注目されています。
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通常のインプラントとオールオン4の違いを7つのポイントで比較

複数本の歯を治療するケースにおいて、 通常のインプラント治療とオールオン4を比較すると、主に次の7つの違いがあります。
| 通常のインプラント | オールオン4 | |
| 埋め込むインプラントの数 | 装着する義歯の本数 | 4本〜6本程度 |
| 費用 | 高い | 安い |
| 手術回数 | 多い | 少ない |
| 治療期間 | 長い | 短い |
| 抜歯の要否 | なし | あり |
| 治療の難易度 | 低い | 高い |
| 適用範囲 | 狭い | 広い |
以下では、各ポイントの詳細をみていきましょう。
埋め込むインプラントの数
インプラントとオールオン4の最も大きな違いは、埋め込むインプラントの数にあります。
通常のインプラントは、1本のフィクスチャーに対して1つの人工歯をアバットメントで連結させて固定します。
一方、オールオン4は、4本〜6本程度のインプラントで、義歯全体を支える仕組みです。
費用
インプラントとオールオン4は、いずれも原則として保険適用外の自由診療です。
ただし、埋め込むインプラントの数が異なる分、治療にかかる費用が大きく異なります。
一般的に、通常のインプラントは1本あたり約35万〜55万円が相場です。
すべての歯をインプラントにするには、莫大な費用がかかります。
対して、オールオン4の費用相場は片顎全体で総額約200万〜400万円です。
いずれも人工歯や装置の種類、付帯手術の有無によって費用が上下しますが、治療本数が多いときは、オールオン4のほうがリーズナブルだといえます。
手術回数
インプラントとオールオン4は、治療に必要な手術の回数が異なります。
通常のインプラント治療では、1本あたり1回ないし2回の手術が必要です。
安全性や適用範囲の狭さから、多くの場合2回法が選択されます。
一方、オールオン4の手術は、基本的に1回のみです。
いずれも入院は不要ですが、オールオン4のほうが手術回数が少ない分、治療期間が短く、心身にかかる負担と術後の腫れや痛みなどのリスクを最小限に抑えられるでしょう。
治療期間
インプラントとオールオン4の違いは、治療期間の長さにもあります。
通常のインプラントの治療期間の目安は、数カ月〜約1年間が目安です。
1回の手術の後、2回目を行うまでに3〜6カ月程度の治癒期間(安静期間)をおく必要があり、その分時間がかかります。
対して、オールオン4は手術の回数が1回でよく、手術後の治癒期間(安静期間)もいりません。
そのため、治療期間が短く、平均3〜6カ月程度ですべての治療が完了します。
抜歯の要否
通常、インプラントは治療する歯のみに施術するだけでよく、周囲の歯にほとんど影響はありません。
しかしオールオン4では、連結している義歯の構造上、装着するには口腔内のすべての歯を抜くか、削る必要があります。
とはいえ、オールオン4が選択肢となる症例では、そもそも治療箇所周辺の健康な天然歯が極めて少ない状態であることが多く、それを残しておくメリットはあまりないでしょう。
抜歯の際は麻酔を使用するほか、鎮痛剤が処方されるため、治療中に痛みを感じることもほとんどありません。
治療の難易度
一般的に、治療の難易度はオールオン4のほうが高いといわれています。
もちろん、通常のインプラント治療でも高い技術が必要です。
しかしオールオン4では、装置の埋入や噛み合わせの設計など、さらに緻密な調整が求められます。
また治療を受ける方の満足度を高めるには、治療や人工歯の素材に関する豊富な知識と、本人の希望を正確に引き出すヒアリング力が不可欠です。
上記のいずれか一方でも欠けると、満足のいく仕上がりにならないばかりか、治療が失敗して後悔する結果になりかねません。
こうした難易度の高さから、オールオン4に対応していない歯科医院も多いです。
オールオン4を検討しているなら、事前にホームページや問い合わせなどで確認したうえ、実績やカウンセリングの様子から信頼性を見極めることが大切だといえます。
適用範囲
インプラントとオールオン4のいずれも、基本的な適用条件は同じです。
ただし、顎の骨や歯肉の状態に関する制限は、通常のインプラントよりオールオン4のほうが適用範囲が広いといえます。
通常のインプラントでは、顎の骨の量や厚みが不十分な場合、事前に骨造成手術が必要です。
また歯肉の厚みが足りないと、歯茎が下がって装置が露出する恐れがあるため、事前に歯肉移植を要するケースもあります。
一方、オールオン4は顎の骨の厚みがある部分や角度を選んでインプラントを埋め込むため、骨量が少なくても骨造成なしで対応できる可能性があります。
また、入れ歯のように人工歯に人工歯肉を付けられることから、歯茎が多少痩せていても調整可能です。
インプラントとオールオン4のどちらを選ぶ?

ここでは、通常のインプラント治療と、オールオン4のどちらが推奨されるのか、ケースごとにみていきましょう。
通常のインプラントが推奨されるケース
次のような場合は、オールオン4より通常のインプラントがおすすめです。
- 治療本数が少ない
- 再治療の負担を減らしたい
治療本数が1〜2本程度であれば、わざわざ健康な歯まで抜く必要はないため、通常のインプラントが適用となるケースが大半です。
また、もし再治療となった場合、通常のインプラントなら異常が生じた部分を調整するだけで済みます。
オールオン4だと、一部の故障や不具合でも装置全体の調整を要するため、再治療の負担をできる限り減らしたいという方には通常のインプラントがおすすめです。
オールオン4が推奨されるケース
次のようなケースでは、インプラントよりオールオン4をおすすめします。
- 治療本数が多い
- 現在使用している総入れ歯が合わない
- 通院や治療に時間をかけたくない
- インプラント治療を受けたいが歯茎や顎の骨が弱っている
広範囲の欠損歯の治療にはオールオン4が最適です。
インプラントに総入れ替えするより費用負担が抑えられるほか、治療期間も短期です。
またオールオン4なら、口腔内およびその周辺の骨の状態により通常のインプラントでは適用できないケースでも適用できる可能性があるため、専門医に相談してみるとよいでしょう。
まとめ

治療本数が1〜2本程度なら、通常のインプラント治療が第一選択肢です。
一方、多く歯の欠損を、費用や時間などの負担を最小限に抑えて治療したいときは、オールオン4が適用されるケースが多い傾向にあります。
どちらの治療法がよいかは、治療を受ける方の口腔内や身体の状態によっても異なるため、まずはインプラントの専門医に相談してみましょう。
インプラントに興味があるものの、治療を受けるかどうかや、どの治療法を選ぶか迷っているという方は「あんしんインプラント」にご相談ください。全国の提携歯科医院で、無料カウンセリングを実施しています。
専門の歯科医師が、一人ひとりの希望を踏まえ、インプラントをはじめとする幅広い選択肢から最善の治療法を提案します。
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