奥歯にインプラントは必要か?
治療のメリット・デメリットと
それ以外の選択肢
失った奥歯をインプラントで補えば、天然歯があったときと同じように食事や会話が楽しめるほか、口元の健康と美を保つことにもつながるでしょう。
治療のメリット・デメリットや費用など、検討時のヒントとなる情報をまとめているので、ぜひ参考にしてください。
インプラント治療は、基本的に保険適用外となるため、費用が高額になりがちです。
特に奥歯の場合「目立たない部分にわざわざ高額な治療を施す必要はあるのだろうか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
今回は、奥歯の治療法にインプラントを選択するメリット・デメリットをまとめました。
治療にかかる費用相場や、適用にならないケースについても解説します。
奥歯にインプラント治療を施す5つのメリット

失った奥歯をインプラントで補うことで、次のようなメリットが得られます。
- しっかり噛めるようになる
- 噛み合わせのバランスが維持できる
- きれいな口元や輪郭が保てる
- 明瞭に発音できる
- 口腔内全体の健康につながる
しっかり噛めるようになる
インプラントで丈夫な奥歯を取り戻せば、食べたものをしっかりと噛めるようになります。
奥歯は、ただ噛み砕くだけではなく、すりつぶすためのパーツです。
また、力を出す動作にも大きく関わる要素でもあります。
奥歯でよく噛んで食べることで、食事の際のスムーズな嚥下や消化吸収を促すほか、瞬発力の向上も期待できるでしょう。
噛み合わせのバランスが維持できる
一般的に、噛み合わせは、奥歯の位置関係で判断されます。
前歯だけみると問題ないようでも、奥歯の噛み合わせが悪いと、顎の突出を引き起こしやすくなるからです。
したがって、奥歯を失うと、口腔内全体の噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。
正常な噛み合わせの維持には、天然歯に遜色ない機能を持つ奥歯が欠かせません。
きれいな口元や輪郭が保てる
もし奥歯がないまま放置すると、顎の骨に十分な力がかかりません。
顎の骨は、適度な刺激が加わることで厚みを維持しています。
そのため、奥歯がないまま放置したり、十分な噛む力が得られない方法で治療したりすると、顎の骨が痩せ、口元や輪郭が下がった印象になってしまうでしょう。
きれいな口元や輪郭を保つには、目立ちにくい奥歯であっても、天然歯に遜色ない感触が取り戻せるインプラント治療を受けることが推奨されます。
明瞭に発音できる
歯並びが悪いと、舌の動きが制限されるほか、発音時に空気が漏れてしまい、しゃべりづらさにつながります。
特に奥歯がないと、母音が「イ」となるような、口を閉じたまま発する言葉が発音しにくくなりがちです。
発音が不明瞭だと、人とのコミュニケーション自体がストレスになってしまいかねません。
口腔内全体の健康につながる
口腔内は、それぞれの歯が噛み合うことで健やかな環境を保っているため、1つでも欠けるとバランスが崩れてしまいます。
もし奥歯を失うと、そこにかかっていた圧力がほかの歯にいくようになり、破損や欠損を引き起こしやすくなるでしょう。
また、奥歯の欠損で噛み合わせや歯並びが崩れることで磨きづらくなり、虫歯や歯周病になりやすくなることも指摘されています。
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奥歯のインプラント治療のデメリット

奥歯のインプラント治療には多くのメリットがある反面、次のようなデメリットも存在します。
- 噛み合わせの調整が難しい
- 奥のほうにある歯は治療しにくい
- 付帯手術が必要になる場合がある
噛み合わせの調整が難しい
インプラントを奥歯に埋め込むときは、噛み合わせの調整を慎重に行わなければなりません。
奥歯は前歯より噛む力が強いため、もし噛み合わせが悪いと、大きな負担がかかります。
適切な治療を受けるには、経験豊富で設備の充実した、信頼できる歯科医院を選択することが大切です。
奥のほうにある歯は治療しにくい
口腔内の深部はスペースが狭く、治療器具が入りづらいため、前歯より治療しにくいことがあります。
特に下顎の奥歯は、そのすぐ下に下歯槽(かしそう)神経が通っています。
下歯槽神経が傷つくと、しびれや麻痺、感覚鈍麻などの症状が現れることがあるので、手術では細心の注意を払わなければなりません。
付帯手術が必要になる場合がある
奥歯のインプラント治療では、骨造成手術が必要になることがあります。
顎の骨の厚みが足りないと、上顎の上部にある上顎洞(じょうがくどう)という空洞を貫通してしまい、きちんと固定できないからです。
また、口腔内の奥は歯茎が薄い傾向にあり、インプラントを埋め込むには歯肉移植を要することもあります。
事前に付帯手術を行う場合、インプラントの治療にかかる費用や身体的・時間的な負担が大きくなります。
付帯手術に対応していない歯科医院もあるので、事前に可否や設備を確認してから治療を検討してください。
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奥歯のインプラント治療にかかる費用

奥歯のインプラント治療にかかる費用は、1本あたり約35万〜55万円が相場です。
原則として保険適用外の治療法であり、全体的に高額になりますが、治療を受ける歯科医院やプラン、装置や人工歯の素材によっても費用が異なります。
しかし奥歯は、前歯と比べ審美性があまり問われない分、治療費が抑えられる可能性が高いです。
また、インプラントは医療費控除の対象となるほか、ローンが組める場合もあるため、費用負担を抑えたいときに活用するとよいでしょう。
◾️奥歯2本のインプラント治療にかかる費用相場とその内訳はこちら
奥歯のインプラント治療が適用されないケース

一般的に、8番目の奥歯である第三大臼歯(親知らず)の欠損には、インプラントが適用されることはあまりありません。
第三大臼歯は抜けていても、日常生活にほとんど支障がないからです。
また、7番目の奥歯である第二大臼歯が上下とも抜けており、噛み合わせやバランスに問題がない場合も、必ずしも治療を要しません。
そのほか、身体的・体力的な理由から外科手術に耐えられないと判断される場合も、インプラント治療は適用できないことがあります。
奥歯の治療におけるインプラント以外の選択肢

失った奥歯の治療法の選択肢として、インプラントのほかにも「ブリッジ」と「入れ歯」があります。ここからは、それぞれの治療法の特徴と、インプラントとの違いをみていきましょう。
ブリッジ
「ブリッジ」とは、治療箇所の両隣の歯を支柱にして、橋をかけるように人工歯を装着する治療法です。
ブリッジ治療を受けることで、次のようなメリットが得られます。
【ブリッジ治療のメリット】
- 保険適用と自由診療が選べる
- 外科手術を伴わない
予算や希望に応じて治療法を選択できる点が魅力です。
一方で、ブリッジ治療には次のようなデメリットも存在します。
【ブリッジ治療のデメリット】
- 治療箇所の両隣の歯を削る
- 両隣に歯がない最奥の歯には適用できない
- 歯の根っこ部分がないため顎の骨に伝わる力が弱い
- インプラントより機能性や審美性に劣る
奥歯は噛む力が強くかかる部位なので、ブリッジ装着後は、周囲の歯に大きな負担がかかり続けます。
両隣の歯がない最奥の歯には「延長ブリッジ」という1本の歯で支える仕組みの装置で治療が可能になりますが、通常より大きな負担がかかり、健康な歯を損ねる原因になりかねません。
また、顎の骨は適度な刺激によって厚みが保たれており、それが不十分だと次第に痩せていきます。
さらに咬合力や咀しゃく能率、見た目の自然さなども歯の根っこがあるインプラントに劣るため、以前と同じような感覚を取り戻すのは難しいかもしれません。
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入れ歯
「入れ歯」とは、人工歯肉がついた義歯です。
主に、次のようなメリットがあります。
【入れ歯のメリット】
- 保険診療と自由診療が選べる
- 外科手術を伴わない
- 多くの歯の補綴(ほてつ)治療に適用できる
保険の入れ歯を選択すれば、インプラントやブリッジと比べ、さらに費用が抑えられます。
部分入れ歯(パーシャルデンチャー)のほか、総入れ歯(フルデンチャー)もあるため、広範囲の歯の欠損・喪失の治療にも適用可能です。
ただし、入れ歯には次のようなデメリットも存在します。
【入れ歯のデメリット】
- インプラントやブリッジより機能性・審美性に劣る
- 周囲の歯に負担がかかる
- 歯の根っこ部分がないため顎の骨に伝わる力が弱い
入れ歯はほかの治療法と比較すると、見た目や噛み心地、発音などさまざまな違和感を覚えがちです。
装置の耐久性もあまり高くなく、使用方法や環境によっては、頻繁なメンテナンスや修理、作り直しが必要になることもあるでしょう。
また、入れ歯を引っ掛ける部分が負荷となり、周囲の歯に負担がかかります。
くわえて、入れ歯には歯の根っこ部分がないため、顎の骨が痩せるリスクも減らせません。
◾️保険の入れ歯についてさらに詳しく知りたい方はこちら
まとめ

奥歯は、口腔内の健康や美しい口元の維持、QOL(生活の質)の向上に欠かせないパーツです。
インプラントのような天然歯に遜色ない治療法で欠損を補うことには、大きな意味があります。
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