インプラントの構造を徹底解説!
パーツごとの仕組みや
天然歯との違いとは?
インプラントの基本構造となる「フィクスチャー」「アバットメント」「人工歯」の3つのパーツの詳細を解説しています。
天然歯との構造的な違いや手術の手順、治療本数が多いときに適用となる「オールオン4」「オーバーデンチャー」の2種類の上部構造についても紹介しています。
「インプラント」は、天然歯に遜色ない噛み心地や見た目が取り戻せる治療法です。
近年注目が高まっていることから、治療を検討している方もいるかもしれません。
しかし、インプラントの構造や仕組みをよくご存じない方も多いのではないでしょうか。
今回は、インプラントの基本構造を解説します。
天然歯との構造的な違いや、手術の種類・流れについてもまとめました。
インプラントを形成する3つの基本構造

インプラントは、大きく分けて次の3つの構造で成り立っています。
- 人工歯根(フィクスチャー)
- 支台部(アバットメント)
- 人工歯冠(補綴【ほてつ】)
人工歯根(フィクスチャー)
「人工歯根」とは、顎の骨に埋め込むパーツです。
「フィクスチャー」「インプラント体」ともいい、歯の根っこ部分にあたります。
人工歯根が上部構造を支え、グラつきやガタつきが生じるのを防ぎます。
噛む力をしっかりと伝え、天然歯に遜色ない噛み心地を再現しているのです。
人工歯根は、主にチタンという金属で作られています。
チタンは人間の骨と分子レベルで似た構造になっており、埋め込んでも身体から異物と認識されにくく、結合しやすいことが特徴です。
支台部(アバットメント)
「アバットメント」とは、インプラントの支台となる連結部分です。
人工歯根と人工歯をつなぐ役割を果たします。
主に、金属のチタンやチタン合金のほか、非金属のセラミックの一種であるジルコニアを素材として作製されるパーツです。
なおインプラントには、人工歯根とアバットメントが別構造の「ツーピースタイプ」のほか、一体型の「ワンピースタイプ」があります。
ツーピースタイプを埋め込むには、2回の手術が必要ですが、ワンピースタイプは1回で取り付け完了です。
人工歯冠(補綴【ほてつ】)
「人工歯冠」とは、インプラントの上部構造であり、歯茎より上に露出したパーツです。
天然歯でいう「歯冠(しかん)」にあたります。
インプラント治療では、顎の骨や歯茎に装置を埋め込み、その上から上部構造となる人工歯を被せます。
人工歯冠は、インプラントの性能や見た目を左右する要素です。
セラミックや金属などさまざまな種類があり、費用も異なります。
人工歯冠の固定方法は「スクリュー式」と「セメント式」の2種類です。
スクリュー式では、人工歯冠の上からネジを通し、アバットメントと固定します。
一方セメント式は、歯科セメントで固める方法であり、一度固定したら基本的に取り外せません。
◾️インプラントの種類についてさらに詳しく知りたい方はこちら
インプラントと天然歯の構造の違い

インプラントは天然歯の構造に似せて作られていますが、厳密にいうと異なる部分もあります。ここでは、インプラントと天然歯の違いを2つの視点からみていきましょう。
歯全体の構造
天然歯の構造は、上部から順に「歯冠」「歯根」「歯髄」で構成されています。
一方、インプラントは上から「人工歯」「アバットメント」「フィクスチャー」で各パーツを補う構造になっており、天然歯に限りなく近い構造です。
ただ、天然歯の歯根の周囲は「歯根膜」という組織で覆われていますが、インプラントにはありません。
歯根膜は歯と歯肉をつなぎ、周囲の骨に対するクッションのような役目を担っています。
また噛んだときに歯根膜が沈み込み、その中に存在する受容器が圧力を感知することで、噛む力をコントロールしています。
受容器は顎の骨や関節、筋肉にも存在するものの、歯根膜と比べると感度が十分とはいえません。
そのため、歯根膜のないインプラントを埋め込むときは、噛み合わせの調整が非常に重要となります。
周囲の歯茎の構造
インプラントを埋め込むと、その周囲にある歯茎の構造も変化します。
天然歯のエナメル質は、歯肉の外側を覆うパーツの一部である付着上皮が密着した構造になっており、細菌や食べかすなどの侵入を防いでいます。
対して、インプラントでは付着上皮がなく、周囲を柔らかい歯肉が覆っているだけの状態です。
構造上、細菌や食べかすが入り込みやすく、感染症にかかるリスクが高まるため、ブラッシングやデンタルフロスなどでの丁寧なお手入れが欠かせません。
インプラントを埋め込む手術の構造と手順

インプラント治療では主に、安全性と成功率の高い「2回法」が用いられます。
2回法とは、インプラントを2回の手術に分けて埋め込む術式です。
2回法では、 一次オペで顎の骨にフィクスチャーを埋め込み、いったん縫合したら、治癒(安静)期間をおいて骨と装置の結合を待ちます。
抜歯と定期検診を経て、インプラントがしっかり結合したことを確認した後、二次オペでアバットメントを取りつけます。
さらに数週間後、アバットメントを支柱に、人工歯を取りつければ治療完了です。
インプラント治療では手術が1回で完了する「1回法」という術式も存在します。
1回法では、主にワンピースタイプのインプラントが用いられ、手術回数が最小限で済むため、時間と身体的な負担を抑えることが可能です。
ただ安静期間をおかない分、傷口が不安定になることがあり、感染症や失敗などのリスクも高まる治療法だといえます。
なお、インプラント治療では、顎の骨の歯槽骨というパーツに穴を開け、そこへフィクスチャーを埋め込みます。
その際、顎の骨の厚みが足りないとインプラント治療が適用できないため、事前に「骨造成」という骨量を補う手術が必要です。
◾️インプラントの手術の詳細はこちら
治療本数が多いときに適用されるインプラントの上部構造

広範囲の歯の欠損・喪失を補うには、通常のインプラント治療だと、高額な費用がかかります。
そこで選択肢となるのが「オールオン4」や「オーバーデンチャー」という上部構造です。
ここでは、それぞれの治療の概要を説明します。
オールオン4
「オールオン4」とは、4〜6本のインプラントで、12〜14本の連結した義歯を固定する治療法です。
インプラントを利用したブリッジのような構造であり、顎の骨に埋め込んだフィクスチャーでしっかり固定します。
オールオン4は、歯の根っこがない通常のブリッジと比べ、噛む力や安定感に優れる装置です。
1本ずつインプラントを埋め込むより費用が安いため、治療費を抑えたい場合に適用されます。
◾️オールオン4の治療の詳細はこちら
オーバーデンチャー
「オーバーデンチャー」とは、顎の骨に埋め込んだ2本以上のインプラントで、取り外し式の総入れ歯のような義歯を固定する治療法です。
顎の骨に埋め込むインプラントの数が最小限で済むため、複数本を治療する際、手術による身体的な負担や費用が大きく抑えられます。
オーバーデンチャーは、一般的な入れ歯より噛む力や使用感に優れるほか、審美性の調整も可能です。
主に、歯が1本もないもしくは極めて少ない方のほか、現在総入れ歯を使用している方にも適用されます。
◾️オーバーデンチャーの治療の詳細はこちら
まとめ

インプラントを検討するにあたって、どのような構造になっているのかを知り、理解を深めれば、治療に対する安心感が高まります。
さまざまな選択肢があるので、インプラントの専門医とじっくり相談し、最善の治療法を見つけることが大切です。
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現在インプラント治療を検討中の方や、興味はあっても不安を抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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