インプラントの治療期間は？
完了までにかかる平均時間を
段階ごとに解説

インプラント治療では、歯を失った部分に装置を埋め込み、人工歯を装着します。

外科手術を伴うこともあり、全工程が終了するまでにどれくらいの時間がかかるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

今回は、インプラントの治療期間を解説します。

インプラント治療が完了するまでにかかる最短期間は約6カ月です。

一般的に、下顎より上顎のほうが時間がかかり、1年程度の期間を要するといわれています。

とはいえ、全工程のうち、手術にかかるのはごくわずかな期間です。

治療期間の大半が、埋め込んだインプラントの結合・定着を待つ時間であり、3本以下の場合だと通院回数は平均2.5回程度で済みます。

ただし、上記の治療期間はあくまでも目安です。

個々の口腔内環境や治癒力、症例、歯科医院の方針などによって治療期間が変わるので、初診のカウンセリングや検査の際に確認するとよいでしょう。

はじめに、専門医との初診相談で、問診や口腔内の確認、レントゲン・CTの撮影を行います。

検査結果を踏まえて歯科医師が適用の可否を判断したうえ、治療方針や期間、費用などを説明した後、計画と要望をすり合わせます。

通院回数は、相談内容や治療を受ける方の都合などにもよりますが、1〜2回程度です。

予約から通院までの期間が空くことや混雑状況などを考慮すると、数日〜1カ月程度の期間を要します。

治療計画が定まったら、一次手術が始まります。

一次手術にかかる時間は、適用する術式によってさまざまです。

ここでは、インプラント治療におけるポピュラーな術式「2回法」「1回法」の2通りの治療における一次手術の目安時間を説明します。

2回法

インプラントの手術は、主に「2回法」で行われます。

2回法の一次手術では、まず歯茎を切開し、顎の骨を露出させ、ドリルで穴を開けます。

その穴へ「フィクスチャー（インプラント体）」という歯の根っこ部分にあたる装置を埋め込み、 縫合すれば完了です。

1回の手術時間は、埋入本数によっても異なりますが、1本あたり10〜20分程度で終わります。

1回法

治療を受ける方の希望や状態によっては、フィクスチャーと、連結部分であるアバットメントを一度に埋め込む「1回法」が適用される場合もあります。

1回の手術時間の目安は、1本あたり20〜30分程度です。

手術が1回で済み、治療期間や手術による身体的な負担が抑えられます。

ただし、適用条件が厳しいほか、アバットメントが露出したまま過ごす期間が長く、傷口の感染リスクが高くなる点に注意しましょう。

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一次手術から約1〜2週間の期間をおいた後、抜糸します。

手術箇所を確認し、問題なければ治癒（安静）期間に入ります。

治癒期間の目安は、個人差はあるものの、下顎で2〜3カ月程度、上顎で4〜6カ月程度です。

本工程で十分な期間をおくことで、インプラントと顎の骨がしっかりと結合・定着します。

インプラントの2回法の場合、安静期間後、二次手術を行います。

二次手術では、治療箇所を再び切開し、インプラントの人工歯の支台となるアバットメントを装着します。

時間は一次手術より短いことが多く、10〜20分程度が目安です。

手術後は、そのまま1〜6週間程度の期間をおき、歯茎の傷が治るのを待ちます。

歯茎の傷が治った後、インプラントの上部構造となる人工歯の型取りと作製を行います。

型取り・作製にかかる期間は、1〜3週間程度が目安です。

人工歯が完成したら、アバットメントに装着します。装着は、基本的に1日程度しかかかりません。

上部をスクリューやセメントなどで固定すれば、インプラント治療の完了です。

インプラント治療後には、定期的に術後検診を受けなければなりません。

インプラントや口腔内環境を良好な状態に保つ、重要なプロセスです。

3カ月〜半年に1回程度を目安に通院し、メンテナンスを受けましょう。

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インプラントの手術では、主に「即時荷重」という方法がとられます。

フィクスチャーを埋め込んだ直後に義歯を装着するため、歯がないまま長期間過ごす心配はありません。

即時荷重を行わない場合も、安静期間中に、仮歯や入れ歯を装着するケースが多いです。

定着・結合期間中はアバットメントが剥き出しになりますが、上にキャップを装着することも可能であり、歯がないまま長期間過ごすことはほとんどありません。

インプラントの治療本数が多いと、その分治療期間も長くなります。

治療本数が多いときは、オールオン4やオーバーデンチャーという治療法を選択することで、治療期間の短縮が可能です。

いずれの治療法でも、治療本数にかかわらず、手術回数は基本的に1回のみ。

隣り合う歯を失っている方や歯がまったくない方、入れ歯・ブリッジを装着している方などで、手術の負担を減らしたい場合に向いている治療法だといえます。

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治療を受ける段階で口腔内に虫歯や歯周病などの口腔内トラブルがある場合、インプラントの成功率にかかわるため、まずそれを治療して解消する必要があります。

また、インプラントを埋め込む場所や本数、口腔内環境によっては、残存歯を抜かなければなりません。

口腔内トラブルや残存歯の処理にかかる期間は、本数や口腔内の状態、混雑状況によっても異なりますが、数週間〜数カ月程度はかかります。

インプラントを埋め込む際、顎の骨や歯茎の厚みが足りないと、インプラントをしっかり埋め込めません。

骨量・歯肉量が不足している場合は、付帯手術で補います。

骨の厚みを増やす骨造成にかかる時間の目安は、手術自体は当日のみ、30分〜1時間程度です。

ただし、骨が再生するまでの期間を要するため、全体で3カ月〜6カ月程度はかかります。

痩せた歯茎を補う歯肉移植手術にかかる時間は1時間程度です。

ただし、縫合後の歯茎の治癒や安定を待ち、抜糸できるようになるまでには、数週間〜数カ月程度の期間がかかります。

現在もしくは過去に全身疾患などの病歴があると、感染症にかかりやすかったり、手術の傷が治りにくかったりすることがあります。

良好な状態にコントロールできているのであればインプラント治療が可能ですが、安全性を確認してからでないと治療が始められません。

また、特に病歴がなくとも、健康診断を2年以上受けていない方は、事前に内科検診の受診が必要になることがあります。

かかりつけの医師への確認や検診、情報共有などに、数週間〜1カ月程度かかるでしょう。

インプラントの治療期間中は、喫煙や過度な飲酒、激しい運動は控えてください。

特に術後当日は、うがいや湯船に浸かっての入浴は禁止です。

また、患部へ頻繁に触れると治りが遅くなることがあるので、むやみに触ってはいけません。

食事は、インプラントが安定するまでは、固いものはできる限り避けましょう。

治療中の安静期間は、3週間〜1カ月に1回程度を目安に、定期検診を受けてください。

状態を細かく確認しながら治療を進めることで、インプラントの成功率や安定感が高まるほか、感染やトラブルのリスクも減らせます。

インプラント治療にかかる平均期間は、結合・定着するまでにかかる時間を含め、約6カ月〜1年間です。

全体をみると長いように感じるかもしれませんが、手術は基本的に日帰りで、3本以下の場合、治療が完了するまでの通院回数は2.5回程度で済みます。

治療中は状態や要望に応じて仮歯を装着するなどして対処するため、歯がないまま過ごすことはほとんどありません。

治療期間中は安静に過ごし、定期検診を受けることが早期完了の近道です。

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