インプラントのフィクスチャーとは?埋入方法・種類や選び方を解説 - あんしんインプラント

インプラントの
フィクスチャーとは?
埋入方法・種類や
選び方を解説

登録日:2026年5月12日 更新日:2026年5月12日

インプラントには、主に3つのパーツがあり、それぞれが相互に機能して天然歯に遜色ない噛み心地を再現しています。

そのうち、顎の骨に埋め込み、歯の根っこの役割を果たすのが「フィクスチャー」です。

外からは見えませんが、さまざまな形状と表面処理があり、種類によって噛む力や装置全体の安定性が異なります。

今回は、インプラントのフィクスチャーの基礎知識と、自分に合った種類の選び方を解説します。

歯科インプラントのフィクスチャーについて

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まず、インプラントにおけるフィクスチャーとはどのようなパーツなのか、仕組みや役割を確認していきましょう。

フィクスチャーとは

歯科インプラントの「フィクスチャー」とは人工歯根のことです。

「インプラント体」とも呼ばれ、1回目の手術で顎の骨に埋め込みます。

先端部分の形状や太さはメーカーによって異なりますが、一般的には円錐型もしくは円柱型で、直径3~6mm、長さ7~15mm程度になっていることが多いです。

 

フィクスチャーを顎の骨に埋め込むと「オッセオインテグレーション」という生体反応が生じます。

これにより、治療箇所の治癒に伴い、骨とフィクスチャーが結合する仕組みです。

 

なお、インプラントのフィクスチャーには、天然歯にはある「歯根膜」が存在しません。

歯根膜は、歯根と歯肉をつなぐクッションのようなもので、噛む力を受け止めコントロールする受容器です。

この歯根膜のないフィクスチャーは、天然歯と比べて感度が低く、噛む力のコントロールが利きにくいため、埋め込むときの噛み合わせの調整が重要になります。

フィクスチャーの役割

フィクスチャーは、インプラントのパーツ同士をつなぎ、固定する役割を持ちます。

骨と結合したフィクスチャーが装置全体の土台となり、上部構造を支えることで、天然歯に遜色ない噛み心地が再現されています。

 

フィクスチャーは、治療の成功と、長期的な満足度を大きく左右するポイントの一つです。

形状や表面処理の方法によってさまざまな種類に分かれていますが、ホームケアや歯科医院でのメンテナンスのしやすさにも関わるため、一人ひとりの口腔内環境やライフスタイルに合わせて選ぶ必要があります。

 

フィクスチャーレベルとは

「フィクスチャーレベル」とは、フィクスチャーが顎の骨に埋まる位置と深さの度合いです。

主に「ティッシュレベル」と「ボーンレベル」の2種類があります。

 

ティッシュレベルは、フィクスチャーの上部が歯肉組織から飛び出る設計です。

別名「組織レベル」とも呼ばれ、主に1回法で用いられます。

 

対して、ボーンレベルは、主に2回法で用いられるフィクスチャーレベルです。

フィクスチャーがすべて顎の骨の内部に完全に埋まる構造になっており、治療箇所の感染を防ぎやすいといわれています。

インプラントのフィクスチャーとアバットメントの関係性

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インプラント治療において、フィクスチャーと合わせて知っておきたいパーツとなるのが「アバットメント」です。

アバットメントとは、インプラントの連結部分のことであり、顎の骨に埋め込んだフィクスチャーとつながり、上部構造となる人工歯を支えます。

 

また、インプラントの治療中に治癒期間を置く際、顎の骨に埋め込んだフィクスチャーの上に被せ、傷口を保護する装置を指すケースもあるようです。

 

アバットメントの素材は主にチタンですが、金合金やセラミックなどが使われることもあります。

フィクスチャーと対になっていることが多く、共通規格が存在しないため、基本的に同じメーカーの装置同士を組み合わせて使われます。

 

フィクスチャーを埋め込む流れ

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インプラントのフィクスチャーは、外科手術で顎の骨に埋め込みます。

埋入手術には、2回に分けて埋め込む「2回法」と、フィクスチャー・アバットメントを一度に装着する「1回法」の2種類があります。

 

現在の主流は2回法であり、手術の主な流れは以下のとおりです。

 

1、術前検診

2、精密検査(CTまたはレントゲン撮影)

3、一次手術

4、抜糸

5、二次手術

6、上部構造(人工歯)の装着

7、術後検診

 

フィクスチャーを埋め込むのは一次手術のときです。

二次手術では、インプラントの支柱となるアバットメントを装着します。

一方、1回法は手術を1回しかしないため、一次手術でフィクスチャーとアバットメントを同時に装着します。

 

なお、フィクスチャーを顎の骨に埋め込むといっても、施術中は麻酔を使用するため、痛みはほとんど感じません。

入院の必要もなく、日帰りで治療できます。

 

また手術後は、治癒期間と定期検診の工程を挟みます。

全工程が完了するまでにかかる期間の目安は6カ月〜1年間であり、3本以下であれば通院回数は平均2.5回程度です。

術後は、3カ月〜6カ月に1回を目安に、定期検診を受けることになります。

 

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フィクスチャーの種類

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現在使用されているインプラントのフィクスチャーには、主に次の5種類の形状があります。

 

種類 形状の特徴 メリット デメリット
スクリュータイプ 側面がネジ状 ・顎の骨への負担が少ない
・骨と結合しやすい
・安定感がよく噛む力も強い

・現在の主流で症例が多い
・骨量が少ないと適用できないことがある
・埋入角度の精密な調整が必要
シリンダータイプ 凹凸のない円筒状 ・顎の骨への負担が少ない
・埋め込みやすい
・安定性が比較的高い
・固定に時間がかかる
・治療が受けられる歯科医院が比較的少ない
バスケットタイプ 側面に小さな穴の開いた中空構造 ・結合力が高い ・装置の強度が低い
・現在はあまり使用されていない
ブレードタイプ 板状のT字形 ・薄い顎の骨にも埋め込みやすい ・顎の骨に大きく穴を開ける必要がある
・噛む力が一点に集中しやすい
・現在はあまり使用されていない
ワンピースタイプ フィクスチャー・アバットメント一体型 ・1回の手術で済む
・治療期間が短い
・破損や不具合が生じたら全交換になる
・適応に制限がある

 

 

スクリュータイプ

「スクリュータイプ」は、側面にらせん状の突起がついたネジのようなフィクスチャーであり、現在のインプラント治療における主流の形状です。

本体が下方へいくにつれて先が細くなる「ルートタイプ」と、すべて太さが同一の「ストレートタイプ」の2種類があります。

 

スクリュータイプは、骨に開ける穴が小さく、手術の負担が少ないことが特徴です。

表面の凹凸がインプラントの結合力を高めるため、しっかりと固定され、噛む力が伝わりやすくなります。

 

シリンダータイプ

「シリンダータイプ」は、円筒状の形をしたフィクスチャーです。

スクリュータイプと並ぶ、主流の装置となっています。

 

シリンダータイプは、表面積が少なく、凹凸もないため、顎の骨に埋め込みやすい点が特徴です。

ただ、表面がなめらかな分、固定されるまでにしっかりと時間を置く必要があります。

 

バスケットタイプ

「バスケットタイプ」は、内部が空洞で、側面に複数の小さな穴が開いたネジのような形状のフィクスチャーです。

空洞に骨が入り込み、より強く結合する仕組みになっています。

 

ただ、バスケットタイプは構造上、装置自体の強度が弱い傾向にあります。

顎の骨とうまく結合できずに折れてしまう恐れもあり、近年はあまり使用されていません。

ブレードタイプ

「ブレードタイプ」とは、板状でT字の形をしたフィクスチャーです。

厚みが薄くて幅も狭く、顎の骨量が少なくても対応しやすいことから、かつては主に骨量の少ない症例に用いられていました。

 

ただし、ブレードタイプのシリンダーを埋め込むには、顎の骨に大きな穴を開ける必要があります。

また、噛んだときにかかる力が一点に偏りやすく、装置の破損や周囲の歯肉の炎症を招く恐れがあることなどから、現在はあまり使用されなくなりました。

 

ワンピースタイプ

「ワンピースタイプ」とは、フィクスチャーとアバットメントが一体になったインプラント装置です。

1回の手術でフィクスチャーとアバットメントを一度に埋め込めることから、主に1回法で治療する際に使用されます。

 

ワンピースタイプのフィクスチャーは、手術が1回で済むので、術中・術後の身体的な負担を軽減できるうえ、治療期間も比較的短期です。

ただし、適用するには顎の骨に十分な厚みがあることが前提となります。

また、インプラントのアバットメントが露出した状態のまま治癒期間を置くため、感染リスクが高まることもあります。

くわえて、術後いずれかのパーツに破損や不具合が生じた場合、すべての装置を交換しなくてはなりません。

フィクスチャーの表面処理

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インプラントのフィクスチャーには、骨との結合力を高めることを目的に、さまざまな表面処理が施されています。

表面処理は、製造メーカーによって特徴が大きく分かれるポイントでもあり、複数の方法が組み合わされていることもあります。

以下では、現在の臨床現場でよく用いられている5種類の加工方法についてみていきましょう。

 

表面処理の種類 処理方法 特徴
サンドブラスト処理 砂状の粒子を高圧で吹き付け研磨する ・骨が入り込む構造で安定しやすい
・適用範囲が広い
・ほかの処理方法と併用されることが多い
酸エッチング処理 酸処理で表面に凹凸をつける ・結合がやや早い
・適用範囲が広い
ハイドロキシアパタイト
(HAコーティング)
歯・骨と同じ成分の物質で
表面をコーティングする
・結合が非常に早い
・馴染みや安定感がよい
機械研磨 機械で研磨して凹凸をつける ・構造がシンプル
・長年の実績がある
・結合が遅い
・現在の主流ではない
ナノ構造化表面処理 ナノレベルの細かい凹凸をつける ・結合が極めて早い
・安定性が高い
・難症例にも対応しやすい
・費用が高い
・実績が少ない

 

サンドブラスト処理

「サンドブラスト」とは、砂状の細かい粒子を高圧で吹き付け、表面を研磨して粗くする加工方法を指します。

表面に付着したブラスト材を洗い流すため、あわせて酸処理が行われることが多いです。

表面の凹凸に骨が入り込む構造で定着・安定しやすく、さまざまな症例に適用しやすいことから、現時点で最もポピュラーな表面処理方法となっています。

酸エッチング処理

「酸エッチング処理」とは、金属を腐食させる酸の性質を利用した加工方法です。

塩酸や硫酸、フッ素などの化学物質を使用し、表面に凹凸が付けられています。

そのため、フィクスチャーと骨の結合が比較的早く・強くなっており、長期的に安定しやすいことから、幅広い症例に適用されています。

ハイドロキシアパタイト(HAコーティング)

「ハイドロキシアパタイト処理(HAコーティング)」とは、フィクスチャーの表面に「ハイドロキシアパタイト」という粉末状の物質をコーティングする加工方法です。

ハイドロキシアパタイトで表面加工された装置は「HAインプラント」と呼ばれます。

骨と同じ成分でできているため、短い期間で強く結合しやすく、馴染みや安定感にも優れます。

機械研磨

「機械研磨処理」とは、表面を専用の機械で研磨して凹凸をつける加工方法です。

インプラントの臨床応用が始まった当初は、主流の表面処理方法でした。

しかし、近年はより結合力に優れた表面処理方法が開発されたことで、フィクスチャーのネックなど一部分のみに施されるケースが多くなりました。

ナノ構造化表面処理

「ナノ構造化表面処理(Nanostructured surface)」とは、フィクスチャーの表面にナノメートル単位の細かい凹凸をつける処理方法を指します。

ミクロレベルで加工されているため、骨細胞が集まりやすく、顎の骨との結合が早いことが特徴です。

近年登場した新しい表面処理方法で、長期的な臨床データがまだ少ないこともあり、今後の展開に注目が集まっています。

自分に合ったフィクスチャーを見つけるポイント

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自分に合ったフィクスチャーを選びたいときには、次の4通りの視点から多角的に検討することをおすすめします。

 

  • 素材で選ぶ
  • メーカーで選ぶ
  • 費用で選ぶ
  • 治療法で選ぶ

素材で選ぶ

フィクスチャーは、主に「純チタン」もしくは「チタン合金」の2種類の素材でできています。

 

「純チタン」とは、人間の骨と分子レベルで似た構造の「チタン」のみで構成された金属です。

人の骨と結合しやすい性質を持っており、顎の骨に埋め込んだときの異物反応や、アレルギーのリスクも少ないため、多くの症例で選ばれる主流の素材となっています。

 

一方「チタン合金」とは、チタンをベースに、複数の金属を組み合わせて作られた素材です。

強度の高さが特徴で、形状を細くしても破損しにくいことから、顎の骨が薄めでも埋め込みやすいといわれています。

 

また近年は、セラミック(硬質の陶器)の「ジルコニア」も選べるようになりました。

非金属なので、金属アレルギーのある方がインプラント治療を受ける際には、ジルコニアもしくは不純物の少ない純チタンが有力な選択肢となります。

メーカーで選ぶ

一口にインプラントといっても、製造メーカーごとに装置の特徴が大きく異なります。

有名なのは「世界4大メーカー」として多くの信頼が寄せられている以下のメーカーです。

 

メーカー フィクスチャーの特徴
ストローマン サンドブラストと酸エッチングを組み合わせた「SLA表面処理」で、骨の結合を促し、短期間での安定化を実現
ノーベルバイオケア 表面に無数の穴を開けて表面積を増やし、骨との結合力に優れた「タイユナイト」を採用
アストラテック インプラント 表面にミクロレベルの処理を施し、骨に与える負担を減らしつつ、結合力と長期的な安定性、高い強度を保つ
ジンヴィ 骨や術後の負担の少ない短い形状のフィクスチャーや、ハイドロキシアパタイトを用いた
「MP-1®HAコーティング」など、多彩な装置を展開

 

迷ったときは、医師とも相談しつつ、世界4大メーカーのような信頼性の高いフィクスチャーを選ぶことが推奨されます。

有名メーカーのインプラントは、取り扱っている歯科医院も多いため、お住まいの地域を問わずメンテナンスを受けやすい点もメリットです。

 

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インプラントのメーカーはどこがいい?製造元による違いと世界4大メーカーの特徴

 

費用で選ぶ

インプラント治療の安全性を高めたいときは、フィクスチャーの値段が一つの指標となります。

素材や形状、表面処理の品質が良いほど、費用も高くなっていることが多いからです。

 

ただし、高額なフィクスチャーが必ずしも自分に合うとは限りません。

口腔内環境や身体の健康状態、メンテナンス体制、保証制度なども踏まえ、予算に対して妥当な装置を選ぶことで、納得のいく治療が受けられます。

 

治療法で選ぶ

フィクスチャーは、治療法との相性が肝心です。

 

例えば、1回法による治療を希望する場合は、一般的にアバットメント一体型のワンピースタイプのフィクスチャーが選ばれます。

対して、時間をかけてしっかりとインプラントを固定させたい方は、フィクスチャーとアバットメントが分離したツーピースタイプが最適です。

一方、手術による身体的なダメージを減らしたいときは、シリンダータイプが選択肢となります。

 

「顎の骨の厚みが薄い」「手術当日にフィクスチャーから仮歯まで同時に装着したい」など、症例や希望によっても適したフィクスチャーが変わってくるので、担当医と相談しながら検討しましょう。

 

フィクスチャー選びに迷ったら?

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フィクスチャー選びに迷ったときは、インプラント対応の歯科医院で、カウンセリングと精密検査を受けてみましょう。

経験・実績豊富なインプラントの専門医と相談することで、口腔内環境や噛み合わせ、身体の状態、治療を受ける方の要望、術後メンテナンスのしやすさを踏まえて、最善の治療方針を提案してもらえます。

カウンセリングでは、分割払いの可否や術後の保証期間、フォロー体制などもチェックすることで、無理なく治療が受けられるようになるでしょう。

 

また、初診相談を受けたものの、不安や疑問が解消されないときには「セカンドオピニオン」の活用を検討してみてください。

複数の歯科医師の意見を聞き、費用明細を確認することで、納得のいく治療法が見つかりやすくなります。

さまざまな治療方針を比較検討して自分が信頼できる歯科医院を見つけ、無理のない予算計画を立てることが、満足のいくインプラント治療を受けるためには大切です。

まとめ

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インプラント治療の初めに顎の骨に埋め込むこととなる「フィクスチャー」は、術後の安定感や噛む力の伝わりやすさを左右する重要なパーツです。

形状や表面処理、素材、メーカーごとにさまざまな種類があり、どのフィクスチャーが適しているかは、個々の症例や希望によって異なります。

事前にカウンセリングを受けて自分に合った治療法を知り、納得のいく治療法を選択することが大切です。

 

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