インプラント治療の神経への影響は?
損傷・麻痺のリスクとミスや
後遺症の対策方法
インプラント治療で起きる可能性のある重大なトラブルの一つとして挙げられるのが「神経損傷」です。
損傷した神経は回復が難しく、その後の口腔内および周辺の頬などに麻痺・しびれ・痛みなどの後遺症が残りかねません。
今回は、インプラント治療における神経損傷の原因と、受診の目安となる要注意の症状を紹介します。
安全に治療を受けるための対策方法と、万が一神経を損傷している場合の対処法についてもまとめました。
インプラント治療で神経に悪影響が出るリスクがある理由

インプラント治療で神経への悪影響が出る恐れがあるのは、主に外科手術を伴うことが理由です。
検査や手術中のミスで顎の骨を削りすぎたり貫通したりすると、神経に直接的・間接的に悪影響を及ぼす恐れがあります。
また、インプラントを埋め込む際、位置や角度を誤ると神経を損傷したり圧迫したりするリスクもあり、慎重な判断が必要です。
インプラント治療では上顎より下顎の奥歯の神経に問題が生じやすい

多くの場合、インプラント治療で神経のトラブルが生じる箇所は下顎の奥歯部分です。
下顎の骨の中にある「下顎管(かがくかん)」の中には「下歯槽神経(かしそうしんけい)」が通っており、細心の注意を払わないと手術中に傷つける可能性があります。
厚生労働省が委託した調査の結果によると、インプラント治療での神経損傷の発現率は0.13%~8.5%です。
また下顎には、下歯槽神経の末端部分にあり顎の感覚を司る「オトガイ神経」や、下顎神経から枝分かれした「舌神経(ぜつしんけい)」「頬神経(きょうしんけい)」など多くの神経が通っています。
数多くある神経のうち、どれか一つでもトラブルを起こすと、口腔内や頬、顎などの感覚が乱れてしまう恐れがあるのです。
出典:厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」歯科インプラント治療のためのQ&A|日本歯科医学会厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」歯科インプラント治療の問題点と課題等 作業班
インプラント治療で生じる恐れのある神経系のトラブル

ここでは、インプラント治療で起きる可能性のある3つの神経系トラブルについて説明します。
神経損傷
「神経損傷」とは、神経に傷がついたり、切れてしまったりした状態です。
インプラントや抜歯の際など、口腔内を切開する治療で起こる可能性があります。
神経圧迫
「神経圧迫」とは、何らかの原因で神経に圧力がかかっている状態です。
感覚が鈍ったり、痛みが生じたりするほか、麻痺・しびれが生じることもあります。
三叉神経痛
「三叉(さんさ)神経痛」とは、顔面のさまざまな器官を司る三叉神経にトラブルが生じたことによる痛みを指します。
治療や手術の傷によるズキズキとした感覚とは異なり、口元や歯など特定の箇所に触れた際、電気が走るような突発的な痛みが数秒間続くことと、症状が断続的に繰り返す点が特徴です。
インプラントの後遺症のほか、脳神経の異常による可能性もあるため、慎重な検査と判断を要します。
インプラント治療後に注意すべき神経の症状

インプラント治療後に次のような症状が生じた場合、神経に何らかのトラブルが起きている恐れがあるため、注意して経過を観察しなければなりません。
- しびれ
- 痛み
- 神経麻痺
- 知覚過敏
しびれ
インプラント治療後、口周辺や舌がピリピリとしたしびれがある場合は、神経にトラブルが生じている可能性があります。
一時的なしびれは手術や麻酔の影響でよくあることなので問題ありませんが、時間が経っても症状が改善しない場合は要注意です。
痛み
インプラント治療後になかなか痛みが引かない場合、神経損傷もしくは圧迫による悪影響が出ているかもしれません。
通常、インプラント治療による痛みは術後2〜3日程度をピークに徐々に治まるのが一般的です。
1週間以上痛みが続く、痛みが我慢できないほど強い、徐々に強くなってきているなどのときは、神経のトラブルの恐れがあります。
神経麻痺
インプラントを埋め込んだ箇所の周辺を触っても感覚がないもしくは鈍いときは、神経が麻痺している可能性があります。
インプラント治療では麻酔を使用するため、術後は感覚が鈍くなることが多いです。
しかし、麻酔は通常であれば術後数時間で切れるはずであり、感覚が戻らない場合は神経系のトラブルかもしれません。
知覚過敏
インプラント治療後に、冷たいものや熱いものなどを口にした際痛みを感じるようになった場合、知覚過敏が生じている恐れがあります。
知覚過敏は、医学用語では「神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)」といい、神経損傷によって生じる痛みです。
人によってはケガや火傷を負ったような激しい痛みを感じることもあり、食事が制限され、QOL(生活の質)に悪影響を及ぼします。
インプラントで神経が傷ついた場合の対処法

インプラント治療後に神経系のトラブルが生じた場合は、すみやかに受診して治療しなければなりません。
以下では、インプラント治療に関連する神経系トラブルの治療法をみていきましょう。
神経を治療する
口腔内のトラブルの原因が神経にある場合は、その治療が行われます。
軽症かつ早期に対処できたときは、服薬や局所麻酔薬の注射、レーザー照射などで処置するケースが多いです。
重症の場合、神経の縫合や移植を行うこともあります。
インプラントの再治療・撤去
顎の骨に埋め込んだインプラントが神経に悪影響を及ぼしていると考えられるときは、装置を取り外す処置が行われることがあります。
位置・角度を調整して再度埋め込んだり、長さや形の異なる別のインプラントに取り替えたりすることで症状が改善する可能性があるからです。
再治療しても症状が改善しない場合は、ブリッジや入れ歯などの別の補綴(ほてつ)治療に切り替えることもあります。
インプラント治療による神経のトラブルや後遺症を防ぐには?

一度損傷した神経は、治療しても完全に回復するとは限りません。
また処置までの期間が長くなるほど治療が難しく、後遺症も残りやすくなります。
したがって、インプラント治療で後悔しないためにはトラブルを未然に防ぐことが重要であり、安全性と信頼性の高い歯科医院選びが大切です。
治療を受ける歯科医院を選ぶ際のポイントとして、主に次の4点が挙げられます。
- 専門性
- 実績
- 設備の充実度
- アフターフォローの内容
インプラントは、歯科医療の中でも特に高度な知識と技術が要求される治療法です。
一般歯科の名医でもインプラントに精通しているとは限らないため、普段通い慣れているからといった理由だけで選ぶのはおすすめできません。
専門性や腕のよさを見極める基準となるのが、治療実績と院内設備の充実度です。
実績豊富で高性能な精密検査機器や補助設備が整った歯科医院なら、個々に最適な治療計画の提案と、高度な技術力に基づく正確な施術を行える可能性が高いといえます。
また、もし違和感を覚えたときに備え、すみやかに相談でき、アフターフォローが充実した歯科医院を選ぶことも肝心です。
>>安心してインプラント治療が受けられる歯科医院の選び方を知りたい方はこちら
安心してインプラント治療を受けるために|評判がよい歯科医院を見つける11のポイント – あんしんインプラント
インプラントと神経に関するよくある疑問・質問

ここからは、インプラント治療と神経にまつわる疑問・質問とその回答をまとめました。
インプラントに神経はある?
インプラントには神経がありません。
本来、天然歯には神経が通っており、細かい感覚をキャッチすることで噛む力をコントロールできる仕組みになっています。
しかし、インプラントは神経の通わない金属であり、感覚がありません。
そのため、インプラント治療後に痛みを感じるのは、歯ではなくその周辺にある神経が原因だと考えられます。
>>インプラントの構造について詳しく知りたい方はこちら
インプラントと神経を抜く治療のどちらがよい?
虫歯が進行して神経に達した場合の治療法として、インプラントのほか、根管治療も選択肢になります。
根管治療とは、歯の神経を抜いて細菌に汚染された歯髄(しずい)を取り除き、内部を洗浄・殺菌する治療法です。
根幹治療は歯を抜く必要がなく、保険が適用されて費用負担が押さえられるため、選択する方も少なくありません。
ただ、難易度が高く、治療にミスが生じると結局抜歯せざるを得なくなることもあります。
また、根管治療を施すと栄養不足から歯が脆くなりやすく、虫歯のリスクもなくなりません。
一方、インプラントは天然歯に遜色ない感覚・見た目が取り戻せるほか、寿命が長く一生ものです。
治療費は高額ですが、治療後は虫歯にならないので、長い目でみて口腔内トラブルのリスクや治療費が抑えられます。
どちらの治療法がよいかは、本人の口腔内の状態や希望、予算によって異なります。
じっくり時間をかけてカウンセリングを受け、納得のいく治療法を選ぶことが大切です。
まとめ

インプラント治療で神経損傷や圧迫などのミスが起きると、神経系のトラブルのリスクが生じることがあります。
損傷した神経は完治が難しいため、治療の満足度を高めるためにも信頼できる歯科医院を選ぶことが大切です。
専門性が高く、実績豊富なインプラントの専門医を探すなら「あんしんインプラント」へお気軽にお問い合わせください。
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