インプラント治療における
サイナスリフトとは？
ほかの骨造成手術との違いや
術後の注意点

「サイナスリフト」とは、上顎における骨造成の治療法の一種です。

「上顎洞底挙上術」とも呼ばれ、痩せた顎の骨の厚みを増やすための付帯手術であり、インプラント治療の前に行われます。

痩せた顎の骨にインプラントを埋め込んでも、安定しにくく、寿命が短くなりがちです。

また、上顎の骨は下顎より薄く柔らかい傾向にあり、厚みが足りないと手術中に上顎洞へ突き抜けたりする恐れもあります。

そのため、安全に治療を行い、装置をしっかり安定させるには、事前にサイナスリフトで骨の量を補う必要があるのです。

サイナスリフトでは、口腔内の小鼻の横付近から、上顎洞の底部へ骨を填入します。

填入する骨は、人工骨もしくは自家骨（本人の骨）を使用します。

「サイナス」とは、顎骨の歯槽骨の奥にある「上顎洞（じょうがくどう）」を指します。

つまり、サイナスリフトは、その名の意味のとおり上顎の骨の厚みを補いたいときに特化した骨造成法です。

サイナスリフトは、広範囲の骨造成に対応できる治療法です。

比較的大きめの穴を開けるため、1回の手術で広範囲の骨が補えます。

また、切開する範囲が大きい分、周辺の粘膜の状態も把握しやすいため、傷つけるリスクが抑えられます。

基準として、顎の骨の高さ5mm以下かつ厚みが8mm未満の場合や、失った歯の本数が多い場合などに適用される骨造成手術です。

サイナスリフトの費用相場は約15万〜30万円です。

インプラントの費用が1本あたり35万〜55万円で、それに上記の金額が別途加算されます。

費用は基本的にすべて保険適用外の自由診療となり、全額自己負担です。

通常のインプラントのみの場合と比べ治療費が高額になりますが、安全に治療を受け、良好な予後を長期的に保つために不可欠な処置だといえます。

はじめに、口腔内や上顎の骨の状態を確認するため、検診および検査を受けなければなりません。

CT撮影や噛み合わせの検査などを行ったうえ、カウンセリングで希望を聞きながら治療計画を立てます。

手術を始める前に、まず麻酔を施します。

一般的には局所麻酔ですが、恐怖感や緊張感が強い方には「静脈内鎮静法」が用いられることもあります。

いずれの麻酔でも、意識は完全になくならず、入院も不要です。

インプラントを埋め込む箇所の頬側の歯肉を切開して骨を露出させ、穴を開けます。

その際、シュナイダー膜を傷つける恐れがあるため、電動式骨手術機器を使用するなど慎重な対策のうえで手術が進められます。

開けた穴の周囲にある骨と、上顎洞を覆うシュナイダー膜を剥離させた部分に、骨を填入します。

なお骨補填材に自分の骨を使用する場合は、事前に下顎から自家骨を採取しておく処置が必要です。

填入が完了したら、穴を塞ぎ、切開した歯肉を縫合します。

手術後は、治癒（安静）期間を置き、治療箇所の回復を促します。

平均的な期間は3〜6カ月程度です。

途中で数回検診を受け、状態をチェックしながら治癒を待ちます。

骨の厚みが補えたことが確認できたら、付帯手術から6〜9カ月後を目安に、インプラント治療を開始します。

サイナスリフトを受ける際には、次の4点に注意してください。

• 治療の負担が大きくなる
• 転院を要することがある
• 手術後の過ごし方に注意が必要になる
• 治療後に腫れ・痛みや出血が生じることがある

インプラント治療を受けるにあたって、サイナスリフトを行う場合、費用や期間、身体的な負担が増加します。

手術回数が増えるほど、身体的な負担が大きくなるからです。

また、インプラント治療がすべて完了するまでに長くて2年近くかかることもあるほか、その間の費用は別途加算となります。

大掛かりで高額な治療になるため、治療に関して不安や疑問がある場合は歯科医師にじっくり相談して検討し、納得のうえで選択することが大切です。

サイナスリフトのようなインプラントの付帯手術は、高度な知識と技術が要求される治療法です。

通常のインプラント治療は行っていても、付帯手術には対応していない歯科医院も少なくありません。

上顎のインプラント治療を相談した際、サイナスリフトが行えないことから断られるケースもあります。

付帯手術を理由に治療を断られたとしても、別の歯科医院に転院することで、治療が受けられるようになるかもしれません。

安全でよりよい医療を受けるため、セカンドオピニオンで複数の歯科医師の意見を聞いてから選択するのも一つの手です。

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インプラントのセカンドオピニオンについて｜費用や転院したいときのチェックポイント – あんしんインプラント

サイナスリフトの手術後は、過ごし方にも注意が必要です。

大前提として、極力安静に過ごさなければなりません。

激しい運動や入浴、うつ伏せ寝など上顎の骨に負担をかける行動は避け、処方された薬を指示通り服用してください。

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インプラント手術後に注意することとは？治癒を早める過ごし方 – あんしんインプラント

サイナスリフトの手術を受けた後は、患部の免疫反応として、腫れとそれに伴う痛みが生じることがあります。

腫れの程度によっては、出血が生じることもあります。

サイナスリフト後の腫れ・痛みが続く期間の目安は10日前後です。

多くの場合、手術後には鎮痛剤が処方されるため、適宜服用しながら安静に過ごしましょう。

トラブルが長期間続く、我慢できないほど痛みが強い場合は、感染症や二次的な疾患、神経損傷の恐れもあるため、すみやかに歯科医院へ相談してください。

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インプラント治療で腫れた!?原因・対策や引かないときの対処法を解説 – あんしんインプラント

インプラント治療における骨造成には、サイナスリフトのほか、ソケットリフトとGBRという手術があります。

以下では、それぞれの治療法の特徴や違いをみていきましょう。

「ソケットリフト」とは、インプラントを埋め込むために開けた穴から人工骨や自家骨を填入する骨造成手術です。

「上顎洞挙上術」ともいい、横側からアプローチするサイナスリフトに対し、下方から持ち上げるように骨を補うことから名前がつけられました。

ソケットリフトは開ける穴の大きさが最小限で済み、サイナスリフトより費用がリーズナブルで、傷口の治癒も早い傾向にあります。

骨造成とインプラントの手術を同時に行えるため、治療にかかる期間や身体的な負担が抑えられるでしょう。

ただし、ソケットリフトが適用されるのは骨造成の範囲が部分的な場合に限られます。

基準として、顎の骨の高さが5mm以上、厚みが8mm以上あるときが対象であり、サイナスリフトより適用範囲が狭いです。

「GBR法」とは、骨が不足している部分をメンブレンという膜で覆ったうえ、外側の骨の細胞増殖を促す骨造成手術です。

別名「骨再生誘導法」とも呼ばれます。

一般的に、骨造成手術では歯肉と顎の骨を同時に切開します。

しかし、歯肉は顎の骨より回復が早く、あらかじめカバーしておかないと骨の中に侵入するように治癒してしまい、骨の形成を妨げかねません。

そこでGBR法では、特殊な膜で顎の骨の治癒を促進させることで、骨造成のリスクを減らせるうえ、狙った場所の骨の量をピンポイントで増やせるようにしています。

ただ、GBR法は骨造成手術の中でも難易度が高く、治療を受けられる歯科医院が限られます。

またどちらかというと下顎に向いている骨造成法であり、上顎の治療にはGBRよりサイナスリフトが適用されるケースも多いようです。

顎の骨の厚みが足りなくても、サイナスリフトといった骨造成手術を併用することで、多くの方がインプラント治療を受けられるようになります。

治療工程が増える分、費用や時間的な負担が増えるものの、安全かつ安心して治療を受けるために欠かせない処置です。

骨造成手術にはさまざまな種類があり、症例によって適用が異なるほか、対応していない歯科医院も少なくありません。

骨造成手術に対応した専門性の高い歯科医院を探すなら「あんしんインプラント」におまかせください。

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